呼吸器外科

呼吸器外科は2007年1月1日から新たにスタートしました。
従来は心臓血管外科で呼吸器の手術を行ってまいりましたが、病気の複雑化や重症化、また最新の医療技術を提供する必要性から呼吸器外科学会専門医を中心として治療に取り組みます。私達の科の特徴は心臓血管外科との共同治療が可能なため、心臓血管へ肺癌が浸潤した症例や呼吸状態が悪く人工心肺の使用が必要となる症例にも対応が可能なことです。昨年は極端に肺が悪く手術中に十分な酸素が摂取できない患者に人工心肺を用いて無事、手術を成功させました。
 現在、癌治療は内科、放射線科、外科の協力による集学的治療が主流となっております。私達は総合病院の長所を生かし、それぞれの専門家による叡智を結集して治療を行っておりますが、『呼吸器外科』は外科治療の分野でその役割を果たしてまいりたいと考えております。


対象となる疾患と診療内容

肺癌は現在でも、全癌患者死亡数の2割をしめる大変数の多い疾患でありますが、喫煙の影響によりますます患者数の増加が予想されております。市立函館病院では過去10年間に201例の肺癌手術を行ってきました。その手術成績、遠隔成績は別項で詳細に報告しておりますので、そちらをご覧ください。
また肺癌ばかりではなく、広く呼吸器疾患の外科治療を行います。具体的には、転移性腫瘍、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、気胸などです。低侵襲手術であるVATS(胸腔鏡を用いて小さな開胸で行う手術)は大きさ4 cmまで切開口を小さくすることに成功しました(通常のVATSは6~7cmです)。肺癌、転移性腫瘍、気胸などの治療に用いております。

当科における肺癌手術症例

肺癌は喫煙の影響により女性患者の増加が予想されるため今後ますますその比重が増加することが予想されております。
市立函館病院では2007年1月から呼吸器外科を開設し本格的治療を開始いたしましたが、その一環として過去における当院の外科治療成績を公表いたします。これらの情報公開により当院における肺癌外科治療のおおよその姿を理解していただければと願っております。

年次別肺癌手術数

手術数は年によりばらつきがありますが、10年間で201例の患者さまの手術を行ってきました。過去6年間は毎年20例以上の手術を行っております。手術を行った患者さまの平均年齢は67歳で最高齢は87歳です。手術死亡(手術後30日以内の死亡)は幸いなことに零で、肺癌手術における手術死亡率が2%前後とされていることを考えると良好な成績であります。
癌治療では短期成績だけではなく、長期の成績も重要となります。通常は五年間の生存率でその成績をみますが、当院では68%の生存率でした。国内最高の症例数を誇る国立ガンセンター中央病院の成績が69%ですので、それに匹敵する数値です。


ただし男女間ではその成績に明らかな差を認めます。性別の違いが影響を与えているのかもしれませんが、喫煙の影響も無視できないのでしょう。
今後、市立函館病院呼吸器外科が目指すことは患者の体に負担をかけずに行う低侵襲手術の提供にあります。現在は大きさ4 cmの切開口で肺癌の摘出を行うこともあります。根治性をそこなうことなく肺葉切除+リンパ節郭清の基本手術を行ないますので、何かご用命がございましたら市立函館病院(0138-43-2000)呼吸器外科までご連絡ください。専門外来は月曜日と水曜日です。

手術件数 ▼