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平成29年度 第4回
函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要

■日時:平成30年2月13日(火) 17:00~18:00
■場所:市立函館病院 精神病棟2階体育館
■出席者:鎌田委員長,伊藤委員,高橋委員,斉藤委員,熊谷委員,
     吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,藤田委員
■事務局:桐澤管理部次長,大島函館病院事務局長,本間庶務課長,
     熊木経理課長,野呂医事課長,船木医療情報企画課長,
     福井恵山病院事務長,佐藤南茅部病院事務長

1.開 会

□熊木経理課長
 本日は,お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。
 それでは定刻となりましたので,ただ今より平成29年度第4回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催いたします。
 それでは本日の議事に入らせていただきます。鎌田委員長,本日の議事の進行をよろしくお願いします。


2,議 事

■鎌田委員長
 本日の議事を進めたいと思います。定例ですと四半期ごとの経営成績などの説明があるところですが,第1に今年の3月の決算について,それと来年の3月の決算について事務局から報告があるということですので,事務局からお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
 ・平成29年度2月補正後予算と30年度当初予算案について

■鎌田委員長
 健全化基準の20%を超えるとどうなるのでしょう。

□事務局
 経営健全化団体になり,健全化計画の作成が義務づけられることになります。

■鎌田委員長
 全国の公立病院で20%を超えたのはどのくらいありますか。

□事務局
 過去にはたくさんありましたが,現時点では九州に1病院だけになります。

■鎌田委員長
 説明を要約しますと,今年度このままでは健全化基準の20%を超えてしまう。そこで,市から2億円の繰入金をもらうということでよろしいですね。
 次に30年度については,このまま行くと資金不足比率が24.1%ということですね。8億6千万くらいの赤字を減らさなければならない。30年度の対策として人件費の削減を試みる。人件費の削減というのは,具体的にはどのようなプランになりますか。

□事務局
 人件費の削減の内容につきましては,現時点で組合には,期末勤勉手当の30%削減という形での提案をしております。

■鎌田委員長
 それは,給与全体で何%相当になるのでしょうか。30%という数字だけが一人歩きしてもしょうがないので。

□事務局
 給与全体からみると約8%程度と考えております。

■鎌田委員長
 それで30年度は何とか乗り切れそうですか。

□事務局
 期末勤勉手当の30%削減の効果額は,約4億円程度と考えております。30年度予算のマイナスが8億7千万円程度なので,給与の削減だけではまかないきれないと考えております。

■鎌田委員長
 あと4億円くらい足りない。そこについては,対策,計画,見込みはいかがですか。

□事務局
 今の時点では具体的なものはございません。

■鎌田委員長
 現状の確認ですが,今年度3月の2億円を市からいただくことは話し合われていますか。

□事務局
 今後,市議会で議論されて議決になれば,という前提ですけれども,今の時点では何とかしていただけるものと考えております。

■鎌田委員長
 来年度は8億のマイナスですが,人件費の削減で皆様のご了解をもらえれば残り4億円。若干は頑張れるでしょうから,3億くらいでしょうか。資金不足比率が20%を超えてしまって,管理団体のようなことになってしまうのではないかという懸念がありますが,この状況は今後しばらく続くのでしょうか。

□事務局
 診療報酬の制度等が現状のままでしたら,しばらくこの状況が続くものと考えております。

■鎌田委員長
 今現在ギリギリだということは,市からの繰入金を含めて今後赤字が出ない体質に変わっていかなければどこかに20%を超えるリスクがあるという理解でよろしいですか。
 以上,事務局から説明がありましたが,順に意見を伺いたいと思います。
 吉川委員いかがでしょうか。

■吉川委員
 現在は危機的な状況で,先行きの見通しを立てろと言われても難しい状況です。給与削減等を通じて,今一度職員に問いかけて,現状の医療制度の共通理解その他を求めながら,内部から持ち上がる頑張りを期待する。我々がこうすれば何とかなるということではなくて,職員一同から盛り上がるようなエネルギーを求めていくしかないと考えているところです。

■鎌田委員長
 職員の皆さんとも危機感を共有して,再建のエネルギーにしていくということですね。
 木村委員いかがでしょうか。

■木村委員
 高度急性期も担う急性期病院として,どの程度の規模でやれば地域に必要な医療を提供出来て,なおかつ経営が保てるかという根本的な検討をもう1回やるための時間が必要です。来年度持ちこたえれば1年間かけて検討できるので,もう一度検討したい。

■鎌田委員長
 この地域において函病がどういう役割を果たすべきか,改めて考えて行く必要があるということですね。そのために,30年度何とか1年間の余裕が欲しいと。
 泉山委員いかがでしょうか。

■泉山委員
 恵山病院についてですけれども,色々努力をしていますが患者さんが減っております。医療圏の恵山が毎年100人,椴法華が毎年50人,約3~4%の人口減で,そこからの入院患者さんが少なくなってきている。それから,旧市内からの紹介患者さんも少なくなっており,病床60床で今までやって来ましたが,現時点で入院患者さんが40人弱です。元々,東病棟24床,西病棟36床の2つに分けてやっていましたが,効率が悪いということで,来年度からは病床を40床にして西病棟にまとめることにしたいと思っています。そうすると看護師の数が若干空きますので,1人専属の地域連携業務を設け,市内の病院との連絡を密に取って,患者さんを確保したい。
 それから,私,今年の3月で定年退職です。今,医師は4人ですけれども,3人になるので,人件費は減るので収支が多少良くなるかと思います。
 何とか入院患者さんを増やして,経営改善を図りたいと思っています。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。
 加藤委員いかがでしょうか。

■加藤委員
 南茅部病院ですけれども,恵山と同じく人口減で,一般と療養の2病棟でやっていますが,療養は22床中19人くらいで増えていますが,一般の方が減っております。今日現在26人入院しております。私,去年腰の手術をしまして,フルに仕事を出来なかったということもあり,昨年10月から入院患者さんが減少していました。今後はまた少し頑張って残りの3地域の座談会で入院患者さんの掘り起こしというか,受診を増やすような形で経営努力をしていきたいと思っています。

■鎌田委員長
 ありがとうございました。
 では,各委員の皆様のご意見をお願いします。伊藤委員お願いします。

■伊藤委員
 各院長のお話を伺いましたが,それぞれが決定打を出せない中で,今回のやり方で1年間を乗り切る間に抜本的な改革したいということでした。非常に難しいと思いますが,構造的な,将来を見越した改革を現実的に考えないと,大変なことになります。普段の診療もある中で大変だと思いますが,頑張っていただきたい。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。
 高橋委員いかがでしょう。

■高橋委員
 同じような意見になるのですが,29年3月に策定した新函館市病院事業改革プラン,ぜひこれを現状に合わせて見直して,プランを立てたらよろしいかと思います。

■鎌田委員長
 ありがとうございます。
 斉藤委員いかがでしょう。

■斉藤委員
 先程,泉山委員から話があった医師3人体制は手を付けなければならないだろうと思います。4人でなければ当直が上手く回らないと聞いていますので,吉川委員なり木村委員に熟慮していただきまして,よろしく願いしたいと考えているところです。

■鎌田委員長
 泉山委員いかがですか。

■泉山委員
 今4人で,自前で当直を回していますが,私がいなくなると3人ということで,1人平均月10回,週末も3人で4回ということになります。週末の1回,あるいは平日の1日を何とか当直の先生が来ていただければなということで病院局にはお願いしているところです。

■鎌田委員長
 吉川委員いかがでしょうか。

■吉川委員
 この件に関しては,病院局が仕切るという形はとれません。木村委員も職員を抱えており,そこから出張に出すということは病院の稼ぎが少なくなるということですから,具体的な話し合いを詰めていかないと。病院局からやりなさいということにはならない。そのことは伝えてあります。

■鎌田委員長
 熊谷委員いかがでしょう。

■熊谷委員
 どうしたらいいか戸惑っていますけれども,自治体病院の責任がどこにあるのかという思いがあります。病院任せではなくて行政も入って,何が不足なのか,何がプラスなのかという議論が必要だと思います。その辺が煮詰まっていないような思いがあるので,もう少し市長も病院について真剣に取り組んでいただきたいと思っております。
 この数字を見ますと,建て替えの案が上がっている南茅部病院がどうなるのかなという思いがあります。地域の人達は一日も早くという思いでおりますので。この数字を見たらダメだという思いをされるはずです。そうではなくて,こういう数字は出ていますけれども,南茅部病院についてはこういうのもありますという形の中で,病院局で素案を作って,地域に入って説明して皆さんの理解を得た形で方向を示して欲しいと思います。

■鎌田委員長
 建て替えるのか,修繕で済ますのか,そういうプランを提示して欲しいということですね。

■熊谷委員
 そういうことです。私も責任のある1人ですから,函病本体の数字はしょうがないとしても,南茅部病院はどうなるのかとしょっちゅう言われます。私の方からこうですと言えるわけではないし,病院局の方に早急にとお願いしてありますというお話はしていますが,素案そのものが出来ていないようなので,早急に作っていただいて地域に入っていただければと思います。

■鎌田委員長
 議論のベースの確認ということで申し上げますが,公立病院ですから函館市から繰入をもらっている。繰入金というのは22~3億くらいもらっていると思いますが,これは総務省が決める繰入基準値と大体同じ。繰入基準値より少なくもらっているわけでもないし,繰入基準値より大幅に多くもらっているわけではないという理解でよろしいですか。

□事務局
 総務省での基準についてですが,総務省では具体的な金額まで指定しているわけではございません。総務省が示した大まかな基準に従って各自治体が決めるということになっております。そのルールの中でやっておりまして,大きくはずれているものではないというふうに考えております。

■鎌田委員長
 他の自治体に比べたら足りないわけではないし,もらいすぎているわけではないところでこういう赤字の状況である,という話ですね。
 色々意見が出ましたが,木村委員,吉川委員,お聞きしてよろしいでしょうか。ボーナスのカットという話が出ましたが,一番心配なのは,ドクターやナースが確保出来るかということ。それはいかがでしょうか,木村委員。

■木村委員
 確保出来るかというか,確保していくしかない。今いる人でやるしかないとしか今の時点では言いようがありません。状況を理解していただいて,頑張ってくださいというメッセージを出し続けるしかないので,1人1人の職員が考えるでしょうけれども,今の時点では他の選択肢は無いと考えています。他の選択肢があれば給与カットは選びません。最後の最後に選んだので,それで人が確保出来なくなるのではないかと言われれば,絶対無いとは言い切れない。機能が維持できるように頑張るしかない。

■鎌田委員長
 都市部と違って函病は比較的医局から来るお医者さんが多いのでは。

■木村委員
 医師に関しては,ほぼ100%ですね。

■鎌田委員長
 その分は大学の先生方の協力が得られる。最低限を確保出来る可能性はあるという感じでしょうか。

■木村委員
 少なくとも四百数十床規模の病院が回せなくなる程の医師の減は考えていません。

■熊谷委員
 給料カットは職員のマイナスになることで,痛みを伴うわけですけれども,それ以上に診療報酬の改定があり,薬価が下げられ,全体の診療報酬も下げられる。特殊診療についてはいくらか上乗せという方向だと思いますが,その数字が30年度の予算に反映されているのでしょうか。

■木村委員
 診療収入全体で1.5%のマイナスになるだろうという見込みの予算です。今年の実績から来年度はこのぐらいになるだろうという額を想定し,そこに0.985をかけた数字が今の数字です。国が言っているのはマイナス1.19%ですが,毎回マイナス改定の時に国が言う数字と,病院団体が各病院にアンケートをする数字に差が少しあり,大きな病院に不利な改定が多いと思います。そのため,1.5%位全体としてマイナスだろうとして組んだ予算です。
 今回の改定が出て,中には急性期病院に良いのもあります。要件が分からないので、それがしっかりわかればもう少し上乗せが出来るかもしれないとは思っていますが,まだ細かい要件が出ていないので、全体としてはマイナス1.5%と見込んでいます。

■熊谷委員
 一般市民として単純に感じるのは,函病は急性期病院で重大な手術だとか病気を専門としてやっていると思っていますので,それだけに診療報酬を多くもらっているのかなと思っていました。診療報酬改定で1.5%のマイナスというのが,素人ですから100%は理解出来ない。増えて当たり前ではないのかという思いがあります。経費の面でプラスマイナスすれば1.5%になるのでしょうけど,収入の面ではプラスになって普通ではないかと思いますが。

■木村委員
 今回の診療報酬改定は,1.19%のマイナス改定ですから,今まで100円だったものを98.81円にしますという診療報酬改定です。同じことをやっていればマイナスになります。大きなマイナス改定だと思います。厳しいところをまた首を絞められたという改定です。

■熊谷委員
 先程言った特殊診療といいますか,それについてプラスはあるということでは。

■木村委員
 そのプラスを入れてマイナス1.19%です。薬だけでマイナス1.19%ではなくて,薬とか材料で減った分と,プラスになった部分を相殺して1.19%のマイナス改定ですと国は言っています。上に乗せる分が入ってのマイナスです。

■鎌田委員長
 シンプルに言うと,公定価格が決まっていて,その公定価格が下がったということです。

■吉川委員
 DPCでいくと,係数があるのですが,全体改定率が1.19%のマイナスですから,それを単純にかければ良いんです。今まで100円出してくれていたものが98円しかあげませんと言っている。プラス0.55%と言っているのは,開業医の再診料や初診料の値上げする部分だけがその位になるでしょうと。我々にはあまり関係ありません。

■鎌田委員長
 函病の場合はより高度急性期を目指すのですが,高度急性期は単価が下がっていないとかはありませんか。

■木村委員
 あります。手術料で上がるものがありますし,看護補助者とか,医療クラークとか,看護師の夜間勤務とか,人を配置したところに付ける加算は上がっています。それは急性期病院でなければつけづらい加算です。

■鎌田委員長
 若干は函病の診療からすると有利かもしれないけれども,全体としては違う。

■木村委員
 有利な分を全部含めた上でそうなるということです。

■加藤委員
 うちはかかりつけ医をやっていますが,かかりつけ医は800円上がるというんですけれども,要件がありそれを満たせない。24時間必ず電話対応できるという不可能な要件なので,かかりつけ医の追加の加算も実際にはもらえるところはそうない。新聞に大きく書いています。

■鎌田委員長
 今日は職員の給料に手を付けなければならない,大変辛い決断をしなければならないという状況の委員会になっています。函病の経営状態というのが良くなってきたのか,悪くなってきたのか,これからどうするのかという話です。
 2番目の議題として平成29年度市立函館病院経営効率化に向けた取組の実績について事務局から説明をお願いします。

□資料に基づいて熊木経理課長説明
 ・平成29年度市立函館病院経営効率化に向けた取組の実績

■鎌田委員長
 入院件数,平均在院日数,材料比率,入院収入に占める検査収入の割合。この辺の数字は3年間で回復しているということですね。函病の経営指標は随分改善しています。数字は少しずつ良くなっている。これは,吉川委員,木村委員のご尽力の賜だと思いますが,木村委員この数字についてはいかがですか。

■木村委員
 良くはなっているけれども,収支を立て直すほど良くはなっていない。手術件数を想定まで伸ばせなかったのが一番の問題点。手術件数が上がれば単価が上がります。診療科毎に事情があったということですが,色んな事情は毎年次から次に起こります。それを言ってもしょうがないので,全体として増やせなかった。

■鎌田委員長
 収益の面では1人1日平均の単価約73,000円,これは日本一に近いのでしょうか。

■木村委員
 いわゆる自治体病院等の公的病院で総合的に色々やっている病院の上の方にいるのは間違いないと思います。

■鎌田委員長
 吉川委員,いかがですか。

■吉川委員
 単価は高いが,利益率が低い。これは函病のことだけではなくて,日本全体がそうです。高度な医療をやれば多くの材料を使わざるを得ないので,単価は高くなるが利益幅は小さくなる。それが経営を圧迫している。利益幅の多い診療科だけでやれば採算がとれる。利益幅がどんどん狭められている。

■鎌田委員長
 伊藤委員,よろしいですか。利益幅がどんどん狭められているということですが。

■伊藤委員
 吉川委員が言ったように,医療の高度化が進んで,例えば脳神経外科だと頭を開いて手術をしたときの方が実入りは良い。カテーテルという治療が始まって,くも膜下出血の患者さんを治しても,手術をすると人件費と技術料ですが,カテーテルでやると値段が安い上に,8割以上が材料費に取られて利益幅がほとんどない。それが全てではないが,高度になればなるほどそうなる。個々の手術を見ているわけではありませんが,お腹の手術も開いた方が早いし,あまり材料費がかからないが,腹腔鏡手術で穴を開けて見ながらやる方が材料費のウエイトが大きくなります。

■鎌田委員長
 木村委員,今の話を聞いていかがですか。

■木村委員
 単価は高いがコストもかかる。けれども,今後急性期病院としてやっていく時に,患者数を増やして経営改善をしようという考えは成り立たないと思います。患者数は増えませんし,増えないというのは環境とか人口からも増えないだろうし,患者数を増やすためにはまた人を雇わなければ増やせませんので、そのための経費がかかります。同じ患者数で経営改善をするためには,いくら幅が狭くても単価を高くすることを考えてやっていく以外にないと考えています。
 100件の入院患者さんを増やしたとしても,1人1回の入院が約100万円ですから,増える収入は1億円で,1億円のうち材料費が35%ありますから,残るのは6,500万円,他の経費もかかりますので、何千万残るか残らないかです。これでは収益改善は出来ない。改善としては単価のところかと。今,目標としている数に対応出来る職員数は確保している思っています。目標を達成していませんから少し余裕はあるわけです。単価を上げる手段として,薬剤や材料を使うのではなく,指導料や管理料等のマンパワーで稼げるところでどんどん稼いで利幅を増やしていく。それ以外はないと思っています。今回の診療報酬も,そこのところに点数はついています。

■鎌田委員長
 後は経費の削減ということになるんですね。

■木村委員
 そうです。

■鎌田委員長
 非常にきついところですね。高橋委員,いかがですか。

■高橋委員
 実績から年々効率が良くなっていると読めるのですが,来年度はボーナスを少しカットしなければならない事態になっているという,その本質が何かという分析されているようですが,それはどこにあると思ったらよろしいでしょうか。

■吉川委員
 効率は良くなっていますが,業務量は減っていません。1人1人の職員の業務量は増えています。効率が良くなったら人を減らせますがそうではない。人は減らせない。
 物を1つ作る工場であれば,5人で分割して,それぞれ1人1人が技術力を上げていけば1人で作るよりたくさん作れる。それが効率性です。医療ではそれがない。効率性を高めても人は減らせない。
 それでも効率性を協同でいけないかという提案をしますが,お互いの壁を取り払って,自分は自分の仕事しかしないと言わないで,譲り合いがあれば,少し時間外が減る,ということです。通常の効率性だけで生産性はすぐに上がりません。利益が上がらなければ定期昇給が出来ませんという理解をして下さいということを言おうとしています。一所懸命働いているのにそれでも削減するのかという皆さんの意見も当然。効率性を高めても業務量が減らないのですから。それが平均在院日数の短縮という意味です。

■木村委員
 効率的というのが良いのか悪いのか分かりませんが,過去最高に入院件数を増やして,やっと平成25年度並みの収入が維持できる診療報酬体系になっているということです。入院件数を増やして,頑張って過去の診療報酬をなんとか維持出来るだけしか実入りがないようになっている。ここが第1歩です。
 数で増やすことに限界が見えてきたのであれば,どうやって実入りを増やすかといえば,1回当たりを増やすしかない。後はコントロールできるのは支出しかない。昔の特例債のような診療収入以外の収入が出てくることがない限り収入は増えない。支出はコストのかかる薬剤材料費をどれだけ下げられるか。少しずつ下げてきましたが。
 診療収入から薬剤材料費を引いた残りの額は平成25年度のギリギリの黒字だった頃くらいまで持ち直してきた。けれども,人件費は収益状況とは関係なく積み重なっていって毎年増えて行っているのが今の状況。そこに,ある程度収益性に合わせた対応が出来ないと,この後は苦しくなる。

■高橋委員
 この数字ばかり見てもうまくいかないということですね。分かりました。

■鎌田委員長
 一方で,函館市の財政状況も厳しいですよね。5年くらい前に市の監査をやったときに,市民一人当たりの国から来る交付税は,函館市は人口30万人以上の都市でダントツに1位です。交付税は決まった額をくれるという建前もあるが,赤字の分もくれるという実態もある。ということは,函館市はダントツに財政状況は悪いという理解で,藤田委員よろしいでしょうか。

■藤田委員
 結構です。

■鎌田委員長
 市の方も身を切る金を出すという気分ではあるんですね。

■藤田委員
 昨年の予算も今年の予算もそうなんですが,今日,市長が30年度の予算を記者発表しましたが,これまでに比べますと,基金を取り崩さないと財政の収支がとれないという状況になっています。基金の取崩が自由な部分の現在高は57億くらいで,今回も5億取り崩していますから,このまま5億程度取り崩していきますと,10年くらいしか保たないという状況にあります。

■熊谷委員
 藤田委員の話を聞いて,言おうと思ったことが言えなくなりました。函病の累積赤字を一度棚上げして,市で全部持つと。何年かで解消すると。そのかわり,ゼロからやりなさいという形にならないのかと。今の話を聞いたら無理ですね。

■藤田委員
 非常に厳しい状況です。前にも一度,病院事業の特例債ということで平成20年度に約29億円という赤字の一部を棚上げするというようなことをやっていただいております。今回も30数億の部分を同じような手法で,ということは出来ません。先程申しましたが,50数億しか基金がありませんから,そこから30億取り崩すということになりますと,市の財政が非常に厳しいということになります。

■鎌田委員長
 そうすると,木村委員がおっしゃった,この1年間何とかして,病院がどうあるべきかを本当に考えなければならないということになります。
 吉川委員,定期的に市長と病院の幹部が懇談することはありますか。

■吉川委員
 そこは課題として,次の病院局長に引き継いでいきますが,そこに切り込んでいくのは大変な作業ですが,やっていかなければならないと思います。

■鎌田委員長
 20%を超えるということがこの委員会で話題になるのは今回初めてだと思います。そのこと自体に非常にまずいと思っています。もっと早くに感知しなければいけないし,対策を考えなければいけない。あるいは,こういうことになるのではないかということを,この場のどこかの誰かが薄々感じたのであれば,その情報をもっと共有できるようにしなければならない。去年の今頃から,来年20%超えるという話が出ていなければならない。今頃20%超えるという話をしたって,給料を下げると言ったって誰も聞いてくれません。そういう意味では,従前の改革プランは嘘の皮ですよね。
 ちなみに,この委員会というのは,改革プランの進捗の程度を検討し,それに応じて修正,監督,審議するというのがこの委員会の目的だと思いますが,改革プランが嘘の皮であればこの委員会は何のための委員会か分かりません。そういうところから,きちんとした数字に置き換えて始めるということが必要。高橋委員が作り直しなさいと言ってくれたように。そういうところから始めざるを得ないのではないでしょうか。
 今度こそ,本当にこうなるんだという数字を作って下さい。これだけの現実と,これだけの努力を傾ければこうなると。それを持って市長部局と話し合う。住民の方と話し合う。ということが出来なければ何をやっているのか分からないですし。事務局におかれましては,痛い目は感じたと思いますから,しっかりお願いしたいと思います。早急に改革プランを作り直すということで良いですね。

■藤田委員
 プランにつきましては,30年度中に見直さなければならないということで考えています。

■鎌田委員長
 木村委員,この委員会に昔のように看護局長,副院長も参加された方が良いんじゃないでしょうか。

■木村委員
 よろしくお願いします。以前は看護局長が出席していましたが,平成26年度、資金不足比率がプラスになった時点で,現場が忙しいので看護局長は出なくても良いのではとお願いした経緯があります。今のこういう状況ですから副院長,看護局長も参加し、皆さんのお話を聞かせて対応した方が良いだろうなということで,お願いしたいと思います。

■鎌田委員長
 お忙しいところ恐縮ですが,こちらからもお願いしたい。
 給与削減まで説明したのだから,改めてみんなで話し合おうということですね。事務局そういうことで。
 あと,四半期の成績報告があったのですが,時間が足りないので資料を見ておいて下さい,ということで良いですか。
 では,本日の委員会は以上ということになりますが,函館の病院事業が生きるか死ぬかの瀬戸際です。止めてしまえという直前ですね。吉川委員,木村委員,泉山委員,加藤委員,大変なお気持ちでここに出ていると思いますが,委員の皆様にも応援をよろしくお願申し上げます。

□熊木経理課長
 ありがとうございました。次回の委員会は29年度の決算見込み等を議題といたしまして,6月の開催を予定しております。

■鎌田委員長
 数字が出来たら必要に応じて集まるというのはいかがですか。決算の状況だけでなく新しい改革プランとか,このままではこうなるという話です。

□熊木経理課長
 はい。出来ましたらその都度ということになりますけれども,決算の関係は6月の開催ということで考えております。近くなりましたら皆様に個別にご連絡を差し上げたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

■鎌田委員長
 最後に私から,今回の給与削減は本当に大変なことだと思います。このようなことを検討しなければいけない状況になったら,各委員の皆さんになるべく早めに報告,臨時委員会の開催等,相談できるということを事務局でお願いします。

□熊木経理課長
以上をもちまして,本日の委員会を終了いたします。本日は誠にありがとうございました。

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