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平成23年度 第1回 函館市病院事業経営改革評価委員会議事概要


日時:平成23年6月23日(木)15:30~17:00
場所:市立函館病院 2階講堂
出席者

岩田委員長,伊藤委員,鎌田委員,藤原委員,秋本委員,吉川委員,木村委員,田鎖委員,渡辺委員
事務局

秋元次長,相馬経理課長,松塚庶務課長,野呂医事課長,小川参事, 大島医療連携課長,
吉田恵山病院事務長,加我南茅部病院事務長

1.開 会

□秋元次長
定刻となりましたので,ただいまから平成23年度第1回函館市病院事業経営改革評価委員会を開催させていただきます。
私は4月より病院局管理部次長となりました秋元でございます。よろしくお願いいたします。
本日は平成23年度に入ってから初めての委員会となりますが,人事異動等で委員が交代になっております。お手元に委員名簿を配付しておりますが,4月から病院局管理部長になりました渡辺委員でございます。

■渡辺委員
渡辺です。これまで事務局で議論に参加させていただきました。引き続き委員ということでよろしくお願いいたします。

□秋元次長
病院局の担当副市長となりました中林副市長は,急遽出張のため欠席となっております。
それでは本日の議事に入らせていただきたいと思います。岩田委員長,議事の進行をよろしくお願いいたします。


2.議 事

■岩田委員長
函館らしくない蒸し暑い日にご苦労様です。早速本日の議題ですが,事務局からご説明願います。


□資料に基づいて相馬課長説明,
・平成22年度 函館市病院事業の経営実績について


■岩田委員長
はい,どうもありがとうございます。いつものように委員の方から,感想,質問をお願いします。順番に伊藤委員から。

■伊藤委員
函館病院では,当初目標を非常に大きく上回ったということでよろしいんじゃないでしょうか。
病床稼働率,その他含めて当初目標を上回ったということは,やはり努力の結果だろうと評価させていただきます。

■鎌田委員
素晴らしいと思います。

■藤原委員
同じです。頑張ったと思います。


■秋本委員
同じです。

■岩田委員長
どうもありがとうございます。皆さん仰ったように,頑張られたことを高く評価したいと思います。
若干質問等をさせていただきたいのですが,8ページと10ページを比較していただきたいのですが,過去5年間で新規入院患者が増えているということが見えますね。これが今回の収益の好転に結びついていると理解してよろしいですね。

■渡辺委員
そうです。

■岩田委員長
そこで,10年ぶりの診療報酬のプラス改定がかなり効いているとお聞きしていますが,プラス改定の影響分は一口に言ってどのくらいあるのでしょうか。

□相馬課長
詳細につかむことは難しいです。感覚的に申し上げると無責任な数字になりますので。

■木村委員
4~5億円の黒字であれば計算しようと思ったのですが,14億円の黒字ですから,診療報酬が上がっていなくても大きな黒字なのは間違いないと考えて,細かい計算はしていません。
例えば,単価が62,000円だろうが60,000円だろうが,1日平均で入院患者数が15人以上増えたということは,診療報酬改定にかかわらず,一般診療科の入院分だけで,1日で90万円以上増えるということですから,非常に大きな部分が現場の努力だというふうに考えてよいと思います。

■岩田委員長
ありがとうございます。27年度までの改革プランの2年目で良いところまで来たということなんですが,企業の場合,赤字が黒字に転換して3年ぐらい同じ基調で行けば本物だと考えているんですけれども,22年度の基調を,23年度,24年度に引き継いでいくための方策はどうなっていますか。

■木村委員
難しいですけれども,函病は,完全な急性期病院化に向けて進むしかないのかなと考えています。超急性期型,平均在院日数をもっと短くして,重症や専門的な患者さんをもっと診るという方向です。経営的には,それ以外の選択肢はないように思います。
ただし,その方向に病院が移るためには,マンパワーや設備を大幅に充実しなければ,そういう病院には変わっていけない。
ただ逆戻りはできない。医療政策で要求されるシステムそのものが逆戻りできないように周辺状況が進んでいます。そういう中で,函病は急性期化,連携を中心にして重症患者を診ていく,外来も紹介患者中心で,慢性のかかりつけの患者さんは開業の先生にお願いする,そういう方向に向かっていかざるを得ないと考えています。

■岩田委員長
まさにそのとおりかなと思っているところですが,そういう中で2点検討いただきたい。
1点は,12ページの材料費です。比率ではなく実数で見ると,この5年間ほぼ一定の線にあります。うがった見方をすると,ある一定の金額を買っておられるのではないか。前年度に比べて材料費が落ちたと仰っていたんですが,21年度が異常に高いかもしれませんので,安定的に減っているという話ではないという気がします。
材料費については,デリバリー含めて委託しているというお話ですが,あるレベルまでは外に頼む方が安いけれど,それから先,さらに頑張ろうと思えば,自社管理の方が細かいところまで手が届くということもあるので,もう一度委託をすることのメリットを検討していただきたい。
トヨタのカンバン方式は,下請けのさらに下請けの部品の動かし方まで管理してやっている。黒字基調を続けるとしたら,筋肉質になるしかない。その時はこのあたりが大きな目玉なのかなというふうに考えております。
次に,ある本を読みましたら,病院は患者さんが診てもらいたくなることがまず第一,お医者さんが働いてみたくなることが2番目に大事,3番目にはあの病院は大丈夫という周りの信頼感が絶対必要だと。
赤字の時には手が打てないと思いますが,今回1年とはいえ黒字が出てきて,もうすでに検討なさっているとは思うんですが,性急に借金の返済を前倒しするというのではなく,いかに患者が来たくなるか,または医師が来たくなるかということに少しずつでも投資することをおやりになって,病院のイメージを変えられることが大切なのではないかと。
前回も言いましたが,病院もイメージ戦略,ブランド戦略が大切であって,「そこに行けば安心」というのは先生側からも患者さん側からもそう思いますので,収益をうまい具合に使う戦略的な方向を考えてはいかがかと思います。

■木村委員
非常にありがたいお言葉で,ありがとうございます。
今回黒字になった一番の理由は,患者さんがたくさん来てくれたこと,職員がそれに応えて頑張ってくれた事につきると思います。
22年度は,このままでは病院は経営破綻しますと院内全体に周知しました。全職員が,危機感を持って,極端に言えば寝ないで働いたくらい努力してくれたことに尽きると思います。
一生懸命働いてもらうためには,変な言い方ですが危機感を共有するか,非常に良い環境で働くかの2つなわけです。危機感であおるのは1回は効くけれども2回は効かないと思うので,良い環境で働いてもらうということが一番大切だと思います。
良い環境づくりには,色んな課題があると思いますけれども,機器等のモノの環境がしっかり整備されていること,マンパワーが必要な数すべての職種で揃っているということ,もちろん給与の問題もあります。それらが同時に改善されていくことが必要です。そして患者さんに支持されて来てもらえるということとの兼ね合いで病院が進歩していくんだと思います。
ただ,先ほど話した超急性期に向けていくということは,ある意味で患者さんの選択になるわけで,今まで来ていただいていた患者さんの一部を,我々以外の医療機関で診ていただくということになるわけです。
中で働いている人間が働きやすいということと,外から来てくれる患者さんがこの病院にかかりたいと思うことを,うまく合わせないといけない。そうするとやはり,急性期で行きますということをどういうふうに地域に理解してもらうかが大事です。そして,病院間の連携をどうやって取っていくかということをしっかりやっていかないと,難しいと,そういうふうに思っています。

■岩田委員長
他に何か。

■秋本委員
13ページですが,不納欠損処分した後に4億円の未収金があるようですけれども,これは回収可能な健全な資産なのでしょうか。これが一つ。
もう1点は,今回資料を事前に配付いただいていましたが,すでに決算書の案もできていると思います。なぜそれを配付できないのか。障害になっているものがあるのか。その理由は,特にバランスシート(貸借対照表)を見なければ,損益,剰余金,繰越欠損処理,資産・負債,資本勘定など,病院全体の経営状況の理解ができがたいものですから,できれば今後資料配付していただければ非常に審査しやすいと思います。

■渡辺委員
未収金ですけれども,約4億円すべてが回収可能な債権かというお尋ねですけれども,平成19年度以降できるだけ未収金を発生させない取り組みを強化して,ずいぶん焦げ付きは解消されて参りました。しかしながら,それ以前の残っている部分がございまして,それを徐々に不納欠損している途上にあります。
市立函館病院だけですと,結局,回収不能になるのが年間2,500万円ぐらいですので,未収金は最終的には3病院合わせても1億円を割るような水準になるのではないかと思っています。

■秋本委員
ちょっと分からなかったんですけれども,健全なのはどのくらいあるのでしょうか。アバウトで結構ですから。

■渡辺委員
未収金の残高は1億円ぐらいになると思っています。

■秋本委員
差し引きして3億円が性質の悪いものということですか。


■渡辺委員
そうですね。なかなか回収が難しいと思います。
もうひとつ,バランスシートをご覧になりたいという話なんですけれども,5月末に決算をまとめて函館市長に報告していますが,これが監査委員の審査の後,監査委員の意見を付けて9月の議会で認定に付されるということになります。
今のところまだ監査委員の審査の状況だということなので,バランスシートを含めて決算書全部を公表するということは行っていません。

■秋本委員
未収金の関係ですが,健全なのは1億円ぐらいといいましたけれども,事務処理の対応不備で時効を待っているのが3億円あるということですか。

■渡辺委員
評価委員会でも何度かご説明したと思うんですけれども,診療報酬の消滅時効は3年ですが,時効の援用が必要でして,債務者が時効を主張しなければ,不納欠損できませんでした。
そのため,不良債権を処理できずにいたのですが,平成21年4月に市で条例を設けまして,時効の援用がなくても債権を放棄できる取扱いが可能になりまして,それ以降,こういう形で不納欠損処分が進んでいるということでございます。

■秋本委員
決算書の提示の関係ですが,監査委員の件はわかります。
例えば企業債がいくらなのか,特例債がいくらなのか,数字の上で確認するには貸借対照表が出なければ分かりづらいということなんです。
経常収支がいくらだったのかという話と,病院独特の資本的収支含めて,資金的には10数億円の黒字という話とちょっと違っていて,本来,経常収支の方が大切なのでは思っているんですけれども,そのとおりで良いのかどうかお尋ねいたします。

□相馬課長
重ねての説明になるんですけれども,決算書については,9月には,決算委員会が終了し,配付できると思います。
評価委員会でも,決算の数字が固まった段階で,今年度の上半期の実績と合わせて決算書も配付させていただきましてご説明したいと思います。その段階でバランスシート等につきましてもご審議いただきたいと思っています。
経常損益,純損益につきましては,3病院合わせた数字で申しますと,22年度は経常損益で2億3,500万円からの利益を計上しております。純損益では4億680万円からの純利益です。経常収支については,平成9年以来の黒字ということになります。

■秋本委員
9月にならなければ出せないのであれば,この評価委員会のタイミングとずれてしまうので,やむを得なく了解いたします。
くどいようですけれども,繰越欠損金がいくらあるかなどは,今日の資料では出ていないので,そのような問題もありますから,あえて一言申し上げました。以上です。

■藤原委員
15ページに恵山病院のことが書いてありまして,函館病院自体は非常に頑張っているということになるんですけれども,恵山病院につきましては入院,外来患者数が少なくなっているという数字があって,先ほど委員長が仰っていましたけれども,ここでは薬品費が増額になっているんですね。
先日,函病と一括交渉している中で,もう少し単価を安くすることはできないかとお聞きしましたら,これ以上は難しいという話をされていました。そこが1点目の疑問です。
それから17ページの恵山病院の単年度財源過不足額ですが,結構大きい数字でマイナスになるところがありますが,ここを改善していかないと,函病でいくら頑張っても足を引っ張る気がします。ここを改善できるかどうか聞きたいです。

■吉川委員
なかなか難しい問題です。恵山と南茅部は,人口が減っていく中で患者数を増やすのが難しいのかなと思っています。
今考えているのは,恵山の場合は,比較的多角化がうまくいっていて,透析の重視と在宅支援病院の検討をしているので,何とかなると思っています。
ただ人件費が高いという状況はありますから,単純な病院の経営努力だけでは収支の改善は難しいと思います。

■岩田委員長
今まで函館病院の金額が大きかったので私はあえて話をしなかったのですが,函館病院がプラスになると,どうしても恵山,南茅部病院が気になる存在なんですけれども,私も恵山病院は一度見学させていただいておりまして,この2つの病院について言うと,単に医療機関というだけではなくて,地域のコミュニティを維持する中心的な位置づけもあるという気がするんですよね。公立病院なのでそういうこともあり得るだろうし,これは大切な所なんだろうなと。
ということは単純な経済原理だけでどうこう言えないところがある。じゃあ赤字を垂れ流してもいいかどうかという話になるんですね。そうなると先ほどお話しありましたように,色々難しいことがあるだろうけれども,病院2つを残すことを前提に,市立病院グループとしてうまい方策が必要なんじゃないのか。これは病院局の仕事じゃないかと私は思うんですけれどもいかがですか。

■吉川委員
今は各病院が独立しているんですね。函病の傘下に入るという形になれば,たとえば函病の急性期を終えた患者さんを引き取ってもらうような病院形態も考えられますが,今の所そこまでは進んでいない。
国の政策としては,慢性期の患者さんは在宅でとなっています。そういう患者さんが恵山,南茅部に多いので,将来的には在宅支援病院化していく方向性を持つべきと思いますが,医療従事者の同意を得なければなかなか難しいですね。

■岩田委員長
なんとかホールディングスという持株会社のもとに,傘下の会社をトータルで見るという方式がありますよね。色々な難しいことはあるけれども,個々の病院の自立性を尊重するあまり,結局赤字でみんなからやめろと言われては何もならないと思うので,今からでもおやりになる必要があるのではないのかなと思うんです。
医師や現場の方や地元が反対されているのであれば,マスタープランを作って情報開示しながら世論を作るしかないと思うんですけれども,特に南茅部病院は,建物も老朽化しているので,もしこれをいじるとなると相当に金がかかる話になるので,そこをどうするか含めて,今から考えておかないといけないと最後に言おうかなと考えていました。
要は街づくりのキーなんですよね。病院だから病院の論理だけでとは言えない。是非そこを検討していただければと思います。

■鎌田委員
先ほど秋本委員が仰いました貸借対照表という話に関連してですが,木村委員から職員一丸となって頑張ったそれが全てだというお話がありました。23年度を考えた時に,危機感だけではもたないというのはごもっともだと思います。
特に働いておられる方の中には,自分個人の給料だとかの水準をあえて踏み越えて,公立病院だからということで働いている方もいるかもしれません。そういう方に報いるということは,非常に大事だと思います。ここでこそ働けるという形,環境,報酬を作ろうと考えた時に,今お話があった単年度の損益だけでは足りません。
これから将来5年間,10年間どう動いていくのか,という話をする時に,大事にした方が良いのは,バランスシート(貸借対照表)ですよ。今どれだけ借金があって,どれだけ財産があって,そこを点検するという意味でも貸借対照表を見ましょうというのは大事なことだと思います。
それから色々ルールがあってやっていることと思いますので,とやかく申し上げるつもりはないんですが,今回,医業外収益に入れた繰入金は,対前年比較で4億円増えていますが,そのうち資本的収入から振り替わった分が1億5,000万円くらい,あと純増が2億5,000万円ぐらい,ということを確認したい。
以上を踏まえて次の話に行きますと,借金の返済を含めたキャッシュフローを考えると,おそらく単年度ベースでは均衡を達成したんですよ。これはすごいことだと思います。
では,来年度以降どうするかという話があるわけですよ。そうしたら設備投資をどうするかだとか,皆さんに提示できる将来の病院をどうするかだとか,そういう話になっていくわけですよ。
設備はリースでやるのかだとか,そういった時に点検すべきなのがバランスシートなんですよ。そういった意味でもバランスシートの点検を通じて将来の計画がより見えるように,可視化していくということはとても大事なことで,まして我々が単年度ベースでの均衡を達成したというのであれば,今後そういった先を見越す計画を立てるためにも,次に我々がした方が良いことだろうと思うんです。
実際病院で働いている先生方に不利益はないはずです。どっちにしてもこの病院は持っていなきゃいけないですし,一本立ちしなきゃいけない状況になってきたわけです。少なくともP/L(損益計算書)は一本立ち出来ている。そうしたら今度はバランスシートで一本立ちしなきゃいけない。それが将来の構想につながっていくことと思います。

■岩田委員長
鎌田委員,そういう場合には,通常はどうやるんですか。

■鎌田委員
この会議に出て本当にすごいなと思うのは,秋本委員です。毎度仰ることが的確です。それから数字を読み込んでおられる。だけど逆に言えば,数字を読み込まなければものを言えないという状況が変なんです。それがバランスシートの話につながるし,将来どれだけ借金の返済があるかとかいうことを開示しながらやるということです。

■岩田委員長
ありがとうございます。説明の仕方も可視化もされてきているし,今後はそういう方向でやっていただければと。
で,剰余金はどうされるんですか。今どういう話になっているんですか。

■渡辺委員
今年は純利益が出ているんですけれども,財務諸表が出れば分かるんですが,累積の赤字がありますので,それが減ったということですから,剰余金をどう処分するかというものにはならないんですよね。
それから鎌田委員からお話があった一般会計の繰入金なんですけれども,平成21年度には国が放射線の機械に1億4,000万円の財源をくれて,一般会計を経由して交付されたという特殊事情があります。
22年度はそれがゼロになったので,資本的収入が減したもので,資本的収入の繰入金を収益的収入にシフトしたというわけではありません。

■鎌田委員
恣意的なものだとは一言も言っていませんよ。前年度と比較してみたら,ということです。

■岩田委員長
お医者さんの世界は,我々大学の教員の世界と同じなんですけれども,組織に対するロイヤリティよりも,自分の技術とプライドに対するロイヤリティの方が高い人たちの集まりだと思っています。そうした時に,いつまでも赤字赤字というテンションだけで働ける世界ではない。
ですから単年度でも何かあった時には,それなりのことを少しずつしながら,先はこうだというのが僕は経営だという気がするんですよね。

■木村委員
そのとおりだと思います。例えば,同じ収入でもよりレベルの高い仕事ができるという動機付けで頑張る人間がいます。同じ仕事でもたくさん収入がもらえるということも動機付けの一つです。医者がたくさん増えることによって,収入は同じでも,もう少し早く家に帰って子どもと遊ぶこともできますよ,という動機付けもあります。そういう色んな面からの動機付けを同時進行でやらないと,一つのことだけやってもダメだと考えています。
トータルで,ここで仕事をすることが自分にとってやりがいのあることだと感じられる環境が重要だと思います。医者だけでなくすべての医療職,あるいは事務方も全部同じだと思います。そう思えるような環境づくりを,その時の経営状況でどこに重点をおけるかは変わりますが,並行してやらなければいけないと思います。

■岩田委員長
我々市民から見ると,お医者さんの数はずっと足りない。ということは増やしても文句は言わない,という気がするんです。
ただ,お医者さんの給料が今の倍になるのは絶対文句を言う人が出てくる。そうしたら報酬という対価は出せないけど働きやすさということに投資できる。それからお医者さんじゃなくても処理できる事務は,秘書的な人を付けることによって雑用から逃れられるようにしてあげるとか,お医者さんが来たくなるということにはそういうこともあるでしょうし,目に見えて許されることと,許されないことに対しては経営上の観点でやることがあるんじゃないかと。
ですから累積した赤字があるから当然それを解消するというのでなく,たまにはボーナスがあっても良いじゃないかと。


■鎌田委員
今回これだけ成績が改善したということであれば,今,委員長はなかなか給料は出せませんといいましたが,上げても良いんじゃないですか。

■伊藤委員
無理ですよ。公務員の給与体系のバランスが大きく崩れてしまいます。

■岩田委員長
給料であげることは許されない。でも働きやすさの投資は許される。

■伊藤委員
おっしゃるとおりです。

■岩田委員長
例えばちょっとした事務処理でも1日100枚書いたらすごい時間かかるでしょうし,そういうことを見ながら,働きやすい病院になったとか,色々なことがあると思うので。そこを全くできないという環境ではなくなったということと,医者が大変だということを市民は実感してはいないけれども理解はしていると思うので,許されることもあると思います。

■渡辺委員
診療報酬にもきちんと位置づけられているんですけれども,医師の事務作業を補助する職員を,市立函館病院では40人,病床数に対する割合15:1という最高水準で雇用しております。医師の事務作業を軽減しようということは市立函館病院は率先してやっているところです。

■岩田委員長
十分に足りているんですか。

■木村委員
足りていないです。やらなければ事務作業がどんどん増えるのを防いでいるというレベルです。いなければ大変なことになっていますから,すごく助かってはいますけれども,ここ2~3年,ものすごく事務作業が増えています。
伊藤委員はよく分かると思うんですけれども,どこの病院も,ちょっと油断していると事務的作業が増えてくる。非常に大きな問題です。

■岩田委員長
先ほどの話では上限までいっているということですが,それ以上に何ができるかというのが経営だと思うんですが。

■伊藤委員
先ほど委員長が仰ったように,今回,診療報酬改定に助けられた部分もあると思います。数字は分かりませんとのことでしたが,本当に分からないんです。ただざっくり言ってこの規模の病院では6億円くらい,たぶんアップ分が寄与しているんじゃないかと思います。
来年の診療報酬改定では,超急性期病院ができる方向に進んでいくと思います。医療従事者を現在の倍にするという,一見乱暴な案なんですが,そうすると非常に効率的に短期間で患者さんを治せるという欧米のデータがありまして,それに沿った改革が来年から起こる可能性が大ですね。
先ほど木村委員が,この病院はどんどん進化して,そういう病院になっていくというお話をされておりました。そういうことへの移行がどううまくいくか。医師会長としての立場で考えても,基幹病院としての確固たる内容充実を図っていただいて,かつ収支バランスを取るという非常に難しい局面にこれからなっていくと思いますが,先ほどの発言を踏まえて,より急性期,高度化の病院をどのように効率良く運営できるか,本当に大変なことだと思いますが,よろしくお願いします。

■岩田委員長
ありがとうございます。では今日の審議事項はこれで終わりました。お疲れさまでした。

□秋元次長
ありがとうございました。以上をもちまして本日の委員会を終了いたします。次回の開催日につきましては,改めて日程調整させていただきますのでよろしくお願いします。本日は誠にありがとうございました。

3.閉 会

 

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