病院局トップコラム

市立函館病院の新体制と向かうべき役割 2018年8月1日
 病院局長として赴任し、早4か月が過ぎました。予想だにしていなかったことですが、この間、木村前病院長の入院・逝去があり、また、病院の経営課題と院内運営システムの見直しなどで、大変、慌ただしい時を過ごしました。幸い、医療職、事務職、全ての職員から、また、院外の皆様からも絶大なご協力をいただき、何とか乗り越えて参りました。
 函館病院に来て分かったことは、各診療科がレベルの高い素晴らしい医療を提供していることです。函館病院は北大、札幌医大、弘前大、旭川医大と4大学から、それぞれの診療科に専門医の派遣を受けています。それは大変ですねと言われることがありますが、決してそうではなく、異なる視点から評価し、融合して新しいものを創りだす可能性を有していると考えています。
 私は、長いこと救急集中治療に従事して参りましたが、この分野は正に病院の総力としての質を評価できる場所です。多くの分野の異なる診療科の技術的協力、そして、厳しい評価なくして進歩はありません。函館病院の救命救急センターは北海道内の救命救急センターとしての評価が6年連続トップでした。それ以外にも、高度先進医療として開心術を行わずに大動脈弁疾患を治療するTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)は循環器内科を中心とした心臓外科、麻酔科、そして臨床工学技士や看護師など多くの職員の協力によるチーム医療により、道南では函館病院でのみ行っています。また、産婦人科では子宮体がんにおける傍大動脈リンパ節摘出を含む初回腹腔鏡下子宮体がん根治手術を行っています。さらには、血液内科の白血病に対する骨髄移植なども道南では函館病院だけで行っています。
 函館病院の場所が遠くて不便で大変だという意見を多くの方から聞きました。確かにそうかもしれませんが、この敷地の広さは大きな財産です。描くことができる大きなキャンパスが残っています。
 自治体病院であるから制限が多くて、また社会的責任が大きくて経営上不利益があると言われることも多々あります。しかし、自治体病院であるからこそできることがたくさんあります。
 函館市は北海道の南端にあり、札幌からも遠く人口が減少し高齢者が増えているまちですが、歴史があり、食べ物が美味しく、人情に厚いという大きな財産を持った素晴らしいまちです。本州の人たちがあこがれるまちの一つになっていますが、これまで幾度も大火に見舞われながら、そのたびに先人のたゆまぬ努力で復興を果たしてきました。そして函館病院も160年にならんとする歴史の中、様々な艱難辛苦を乗り越えて今日に至っています。函館病院の職員には無い物を羨ましがるのではなく、過去を憂うのではなく、函館病院には改善する目標があり、新しいものを創造する喜びがあることを知ってほしいと思っています。
 さて、8月から、新しい病院長を森下清文前副院長にお願いすることにしました。森下先生は職員ひとりひとりの話を良く聞き、また、病院局と病院との関係を良く理解しています。病院局は病院の運営、特に経営、働き方、医療の質などの方向性を指し示します。もちろん、それは単にトップダウンでなくボトムアップでもなく、病院長はじめ広く病院職員との意見交換から作っていきます。しかし、その方向性が誤っていたらその責任は病院局、とりわけ私にあります。病院長は、その方向性に沿って病院職員をまとめる執行責任者です。病院局と病院は車の両輪になり、病院局長と病院長は一体となって、同じ方向を向いて進んでいく必要があります。
 森下新病院長には、医師、看護師をはじめ全ての病院職員にとって働きがいがあり、働くことが楽しいと思える職場環境を作って欲しいと思っています。そのことにより、自ずと患者さんに対する思いやり、新しい患者サービスが生まれてきます。また、地域の医療機関とのオープンで緊密な連携を図り、急性期から回復期、慢性期、そして、介護、在宅まで、地域に住む方達の医療、介護、福祉にまで責任を持つ医療体制を地域の関連ある機関とともに作っていって欲しいと思っています。新しい病院長に大きな期待をしており、全力でサポートしていきたいと思っております。
函館市病院局長 氏家良人
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